THE NO.1 SACK SUIT

No.1サックスーツ

ブルックス ブラザーズが生み出したメンズの標準服、No.1サックスーツ

歴史は勝者によって書かれたとよく言われます。これはファッションの歴史にも当てはまります。たとえばかつて大流行したレジャースーツ、漂白されたジーンズなどは現在では注目を集めることはありませんが、「価値あるクラシック」と評され、今なお輝き続けるアイテムです。19世紀末から20世紀初頭にブルックス ブラザーズが世に送り出した「No.1サックスーツ」もそのひとつです。

20世紀が明けるとともに、メンズウェアも新しい時代を迎えました。「テールコート」と呼ばれる前時代を象徴するようなメンズウェアは廃れていき、その代わりに「No.1サックスーツ」が全盛期を迎えました。パッドが入っていないナチュラルショルダー、左襟にボタンホールがある控えめなラペルとソフトなフロントの仕立て、後ろ身頃にセンターベントが入り、あらゆる人の体型にフィットするのがこのスーツの大きな特徴です。

トラウザーズはレッグ部分がストレートになったシルエット。このモデルが開発される前、19世紀の男性が着用していたスーツはダブついたジャケットと、太いトラウザーズのスーツでした。それをブルックス ブラザーズが、高い品質と洗練さ、そして上品さをも加え、「No.1サックスーツへと大きく進化させたのです。

1938年5月7日付けの『ニューヨーカー』誌には次のような記述があります。
「ブルックス ブラザーズの本当のトレードマークは、広告やレターヘッドに使われているゴールデン フリースではない。No.1サックコートである。これまで毎年のように手が加えられてきたが、その本質的なスタイルは半世紀にわたってほとんど変わっていない。他の仕立屋によってコピーされたことも幾度となくあったが、ブルックス ブラザーズの熱狂的なファンは、ナチュラルショルダーやラペルの個性的なロール、ストレートライン、妥協を許さない本物のカジュアルを求めている…No.1サックスーツのラインは…装い全体の哲学なのである」

この洗練された「No.1サックスーツ」は、20年代に起きた大恐慌の暗い日々、あるいは狂乱の時代のジャズクラブでも着用されました。また戦後の1950年代には大学のキャンパスウェアとして愛用され、現在に至るまでブルックス ブラザーズのコレクションにラインナップされています。ナチュラルショルダー、美しいロールのラペルなど、その特徴的なディテールなどはほとんど変化していません。まさにファッションヒストリーにおける勝者であり、ブルックス ブラザーズの哲学を象徴するものなのです。

SHOP SUITS